ゴルフⅤの弱点
こんばんはー今回は、VWゴルフⅤ(GTI)の修理の模様をお届けします。
数年前にも同じ様な修理をしたことがありましたが、今回の方が症状は重たい物でした。それは・・・
これ!!
分ります?右Frドアがありえない方向にめくれていますね~
これはですね、ドアとフェンダーの隙間に雪や氷が溜まり、硬く凍った朝などにドアを開けると氷が挟まってドアパネルが外側にめくれてしまう北国ならではの損害。
最初は小さなめくれでも、徐々に大きくなっていくとドアをフルオープンしたときにFrフェンダーに干渉してしまい、Frフェンダーは内側へと押し込まれてしまいます。そんで、ここから錆が発生して結果的にサイドシルへと錆が移ってしまいます。
こんな感じに錆びております。前回、ゴルフⅤのGTを作業した時も、フェンダーを外してサンドブラストで錆部分を除去して錆転換剤と錆止めを施工しましたが、結果的には1年もしないうちに同じように錆びてしまいました。
今回のゴルフが入庫した時期に、偶然にもゴルフⅤのR32が事故によるフェンダー交換で入庫したのですが、フェンダーを外したときにフェンダーとサイドシルの間にホットワックス(水の浸入を防ぐ防錆ワックス)が大量に盛られていました。
錆が発生している今回のゴルフはこの部分にホットワックスはあまり残っておらず、尚且つ、隙間が狭くなっていたのが良くなかったのかもしれません。
ドア裏もこのように錆が。
ドアパネルがドアAssyから外せる構造なので、修理は楽ですがひょっとするとこの構造が良くないのかもしれませんね。
同時期に生産されたゴルフヴァリアントにも同じ症状が確認されました。
左Frフェンダー、左Frドアは修理。右Frフェンダーは新品交換。右Frドアは中古パーツに交換となりました。
アウターパネル類は外した状態で錆処理をしてから塗装しました。
外れている状態でなければサイドシルを塗装できないので。
こんな感じで完成です。フェンダーとサイドシルの隙間にはホットワックスに近い硬さの防錆ワックスを塗布しておきました。
お客様が用意してくださった右Frドアは程度が良く、そのままアウターパネルの交換のみで済みました。色もほぼ合っています。
今後の対策としては、冬の間こまめに氷を取り払うことでしょうか。ドアを開ける前に、一度チェックするクセをつけなければなりませんね・・・。
せっかく良い車なのに、惜しい構造です。
K様。この度はご利用いただきまして誠にありがとうございました。
ご相談いただいてから、ご入庫までお時間を頂いてしまいましたが、仕上がりに満足して頂けて安心いたしました。
また錆びないよう最善を尽くしましたが、何かございましたらいつでもご相談ください。
今後とも宜しくお願いいたします。
フロントドア下部に氷の塊が生成されるという事態が問題と感じます。つまり、同部位の構造、水はけに対する考慮不足でしょう。日本より余程寒い地域は、ドイツ内にも隣のスイスにもある訳ですが、設計が悪すぎると思えます。
そもそも、このドアスキンだけネジ止めで取れるという製造コストを要する構造を、よくもまあ取り入れたのかと驚きます。カチオン電着行程では、ドアスキンなしボデーと、ドアスキンを別に下塗り処理しているのでしょうが、その合わせ面にシーラー処理もできず、水はけ悪く腐食が進むのでしょう。
廃ガスゴマカシもやらかすし、このゴルフ5世代だけで継続されなかったドア構造、最近も進めているレーザービームの溶接とろう付けも、補修性最悪です。特にルーフのレーザーブレージングは泣いている板金屋さんは多いでしょう。生産台数はトヨタと拮抗していますが、先行きは暗いメーカーがVWでしょう。
コメントありがとうございます。
まさに仰るとおりだと思います。パネルがめくれてしまうくらいの氷塊が出来てしまうのは構造的に欠陥といわざるを得ません。
板金する側からしますと、スキンパネルはドア交換に比べてコストも時間も抑えられる新しいスタンダードとなりうるか?と一時は思いましたが、やはり浸透しませんでしたね。
どのメーカーも衝突安全に力を入れている分、板金・整備業界はみんな苦労していますよね。
この先も生き残れるよう模索してまいります笑