錆との死闘！ルノー5編 - 前田自動車.jp

ちょっと今まで遭遇したことが無いくらいの錆で、ご覧の通りデッカイ大穴が空いております。いや～・・・ちょっとコレは・・・どうしようって感じで社長の反応をチラチラ見ていると、以外にもやってやれないことは無い的な様子。 オーナー様も応急処置的な作業で構わないとのことでしたので、ボディーレストアではなくとりあえず「防錆処理をして穴を塞ぐのが目的」という事で了承していただきました。

錆に関しては毎度申しておりますが、完全に防ぐことは不可能です。以前とある板金屋さんのブログで錆に触れた記事がありましたが、そこには「病気のガンと同じ」と書いてありました。 まったくその通りだと思います。言い方は悪いかもしれませんが一度錆びてしまうと騙し騙し付き合っていくしかないのです。ただ、早期発見はどちらにしても重要ですね。

今回のルノーは錆もさることながら、「赤」特有の色褪せが全体に有り、クリヤーの剥がれも見受けられました。恐らくオリジナルの塗装はクリヤー塗装がされていない「１コートソリッド」というもので、ペーパーで研いだりコンパウンドで磨いたりすると赤い塗料が付着します。

クリヤーの剥がれている部分は補修暦があった箇所だと考えられます。 最初は錆びている部分と色褪せが酷い所のみを修理するというお話だったのですが、ほとんどの箇所が酷かったので、全塗装にしましょうということになりました。

最初にお見積もりにいらしたときは、まだ暖かかったんですね。作業服が半袖です（笑）。 実際に入庫して頂いたのは９月頭だったと思います。 リフトアップしてステップの錆をガンガン削っていきます。 あーこりゃ酷い。インナーパネルまで腐っていました。ステップ交換になると費用高くなってしまうので、ウチにある余った鋼鈑をカットしては溶接を繰り返します。

社長が時間を見つけては溶接していましたが、大変な作業です。 錆を除去しきれない箇所は錆転換剤を塗り、赤錆から黒錆に転換しておきます。こうすれば錆は進行しづらくなるそうです。 

先に下回りを修理（というより作った）をして、ウルト社のキャビティーワックスをパネル内部にスプレーしておきました。多少の水が浸入してもワックスでシャットアウトできます。外側はアンダーボディーシーラーでガッチリコート。いつ見てもこの質感はたまらなく良い。新車のうちからこれをやっておくとベストなんですけどね～。 

お次はガラス周りです。ガラスを外すとやはり錆地獄。まだまだつづく溶接作業。下地作業は険しいですね→他人事のようですが(笑)。

ボディーの下地作業が続く中、バンパー・サイドミラーなどの小部品が下地完了したようなので早速塗装。輸入車のバンパーって国産と比べてなんだか変な素材で作られていることが多く、高温で乾燥したら膨れ上がったなんてこともあるので、60℃で時間をかけて焼きました。古い車ならなおさらですね。 

他の作業をこなしながらのボディーの下地作業、時間はかかりましたがやっと完成です。 サイドステップの付け根部分など内部も塗装しなくてはならなかったのと、より綺麗に仕上げるため私のわがままではありましたが、ドア・ボンネット・バックドアを全て外して塗装させてもらいました。 こうすることで気分良く且つ綺麗に塗れるんです。

ソリッドの赤は色のトマリがよくないので何度も塗り重ねてはチェックが必要です。 ソリッド独特のヌラッとした塗装肌も良い感じに再現できたと思います。 今回はキチンとクリヤーコートしてあるので、色褪せもしづらいと思います。

磨き、部品の組み付けを終え完成です。 どうです？見違えるようでしょ！？こんなに綺麗なサンクはななかなか居ませんよ（笑）。 サンク自体あまり見かけたことがありませんが、思い入れのあるお車のようなので綺麗に仕上げさせて頂きました。

左ハンドルのマニュアルだったのですが運転のしやすさは抜群でした。なんでもフランスではかなりの人気車だったらしいです。 そういえばゲームのグランツーリスモにサンクターボがあったのを思い出しました。 ラリー仕様でフェンダーの張り出し方が最高にカッコイイですよね～。 なるほど、こういう車をいじるのもアリだな。いつか余裕が出たら作ってみたいな～。

Ｈ様、この度はとても長い間お預かりさせて頂き大変ご不便をおかけしました。 当初は、この作業をＨＰに載せるかどうか迷ったのですが、やはり戦いの記録を残さずにはいられませんでした。しばらくはこのような重症は修理したくはありませんが（笑） お気持ちにお応えすることが出来て大変嬉しく思います。 これからも楽しいルノーライフを満喫してくださいね。ありがとうございました。

錆の修理につきましては、三者三様でこれが正解というものはいまのところ無いと思います。錆の発生の要因は車の構造上の問題、環境による問題など様々なことが考えられます。 弊社でも防錆処理はいたしておりますが、今回のように錆についての理解や再発の恐れがあることを十分にご了承いただいた上での作業となりますので、不明な点がございましたらお問い合わせください。スタッフがご相談に乗ります。